泣ける常連

テレフォンレディをしているといろいろなお客さんに出会います。
最近、いちばん心に残ったのは、Aさんという53歳で独身の男性です。
なんでも、彼はこれまでに10個以上の仕事を転々としてきて、現在は日雇いで道路の交通整理が多いとのこと。

話ぶりは穏やかで、いやな感じはなかったのですが、稀に興奮し始めると大声を出すのが怖かったです。
会話の内容は基本的にスポーツで、特に野球好きでひいきのチームが勝つと嬉々として話していました。
わたしは父が野球好きだったので、うまく話題を合わせることができて、気にいってもらいました。
それからちょくちょくボイスで私を指名してくれるようになりました。

いつものようにお話をしているなかで、つい「結婚はしないんですか?」と聞いたら、
物凄い興奮をし始めて、私のことを罵って電話を切られました。
その時は、理不尽なことでアタマにきたのですが、稀にあることなので、気にしないようにして待機をしていたら、
その彼から再度指名を受けました。

どうも、自制できなかったことを反省したらしく、謝っていました。
私はコールがくれば何であってもお話しするタイプなので、そのまま話し出すと、彼は自分のことを話し始めました。

彼は彼女がいて、彼にベタ惚れしていると言いました。
しばらく、ほのぼのとした気分で話を聞いていたのですが、彼女はキャバ嬢というところから雲行きが怪しくなりました。
平たくいえば、キャバクラのバーチャル恋愛にハマっているだけでした。それを真剣に話すので、突っ込めずそのまま聞き流していました。

それから、毎回彼女(ということにしている)の話を聞くのが常になりました。
最初は聞いていられたのですが、余りにも無邪気に話すので、だんだん悲しい気持になって、胃が痛い思いをした記憶があります。
それでも、お仕事と思って聞いていたのですが、ある時彼女が入院した話に関してはどうにも居たたまれなくなりました。
なんでも入院した病院へ行って、部屋は教えてもらえず、弟と言われる人に入院費を渡して帰ってきたというのです。
思わず「それ騙されてるよ」と出かけましたが、黙って最後まで聞きました。

よくよく話を聞くと、何度もそんなことをされていて、心のどこかでは、彼も疑念はあるように感じました。
それでも、話ができるのが嬉しくてバーチャルな世界に身を任せているようでした。
いつか彼も気付くと思い放っておいたのですが、ある日思わず私が「本当の彼女作りなよ」と言ってしまい。さんざん罵倒され、それからはしばらく指名がなくなりました。
その後、ごくたまに指名しているのに5分でも10分でも沈黙しているパターンになりました。なんか悲しいです。

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